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社会のはぐれ鳥 ストレイバードのブログです。主に昭和レトロで微妙な本、珍本、奇本を中心に紹介しています。

情報が溢れる世の中で選ばれるには?新書カルトブランディング-顧客を熱狂させる技法

情報が溢れる中で選ばれるにはimage

 

ブランディングって、なんなんでしょうね。

 

そもそも、ブランディングはマーケティングと同じ意味、

って誤解されがちな言葉ですよね。

 

ブランディングはブランドの派生語、

マーケティングはマーケットの派生語、

と考えれば、なんとなく違いに気づきませんか?

 

と言いながら、ぼくも専門家ではないので、

くわしいわけではないのですが・・・。

 

今回は、アップルのような企業のブランド力が、

いったいどのような戦略をもとに築かれたのか?

 

ということがわかって、

もしかしたら真似できるかもしれない?

 

そんな本を紹介します。

 

カルトブランディング

カルトブランディング-顧客を熱狂させる技法

著者:田中森士

発行所:祥伝社

初版発行:2021年4月10日

 

 

本書をオススメしたい人

 

・ブランディングに興味がある人

・これから活躍できる人材に興味がある人

・メーカーに勤めている人

 

 

カルトなブランディングってなに?

大仏の顔image

 

カルトというと、

日本では危ない新興宗教のイメージを持つ人が多いので、

いいイメージはないですよね?

 

まあ、そのイメージは世界でも同じかもしれないですが、

事件を起こしてきた株ない新興宗教には、

一部の人たちを強烈に引き付ける力、カリスマ性があり、

アメリカなどは国家的に研究してきたほどです。

 

それは、カルト組織から国民をどう守るか?

という国防的、軍事的な目的から研究するのですが、

その一方で研究成果をビジネスにも利用するのが

アメリカの強さです。

 

現在、カルト的と言えるほどの熱狂的な支持を得ている

企業の代表はMacやiPhoneを生み出したアップルです。

 

スティーブ・ジョブスが、

意識して最初からカルトブランディングを仕掛けたとは

思えないですが、彼が起業した当時の社会情勢と、

彼が身を置いていた環境を考えれば、

彼に宗教的なグルの思想と振る舞いが身についていたのは、

十分に考えられます。

 

当時たくさんあったミニカルト集団のグルの振る舞いが、

古いビジネスの世界でカリスマ性を持った存在に見えた。

 

一方で、ガレージで起業したエピソードから、

お金がないので商品はひとつに絞られるわけで、

必然的に従来の商習慣とライフスタイルを破壊するような、

強く尖ったメッセージに特化していったことが、

結果的にアップルをカルト的な人気企業にしていった。

 

というふうにも解釈できると思うのですが、

どちらがスタート地点にしても、アップルの姿勢こそ、

カルトブランディングの最高のサンプルなわけですね。

 

 

個人的にハッ!としたこと

ハッ!とした顔image

 

テレビCMでも聞くことのある言葉で、

顧客満足度っていうのがあるじゃないですか?

 

ビジネス用語でエンゲージメントっていうのを、

顧客満足度と一般的に翻訳され使われています。

 

でも、著者によると、

顧客満足度は誤訳なんだそうです。

 

本来使われている意味で翻訳するなら、

顧客が愛着を感じる度合

が正しいそうなんですよ。

 

ぼくは、本書ではこの翻訳を読んだときにいちばん、

ハッ!としてグッ!ときました。

 

たしかに、

顧客満足度が高いからブランドになるというより、

顧客が愛着を感じて利用し続けるからブランドになる。

 

そういう視点に変わると、

ブランディングでやるべきことが見えてくる気がします。

 

そして、それが見えてくると次のことも、

なんとな~く見えてくるんですよ。

 

 

欧米人にあって日本人にないもの

アメリカンなハンバーガーimage

 

顧客が愛着を感じるためには何が必要か?

っていう部分をよく考えてみると、

原点はファンサービスじゃないかな?と思うんです。

 

と言いながら、これは別にぼくが閃いたことではなく、

本書でファンサービスがすごいスポーツチームの話や、

日本の有名な釣り具メーカーの話が出てくるんです。

 

でも、ぼくが読んだ限りでは2社のファンサービスは、

大きな違いがあります。

 

アメリカのスポーツチームのファンサービスは、

観客が一瞬も飽きることがないように、

徹底的に楽しい演出を与えまくるんです。

 

会場だけでなく家でも飽きさせない工夫を徹底的にする。

 

一方で、日本のメーカーはお客さんが欲しいものを作る。

作って作って作りまくっているうちに熱狂的なファンがつき、

そのファンがファンクラブ的なものを運営しだす。

メーカーはファンクラブをサポートする。

 

一見すると、結果は同じファンサービスに思えますが、

アメリカは顧客に愛着を感じてもらうためのサービスで、

日本は顧客満足度を上げるためのサービスに感じませんか?

 

ぼくはこの微妙なニュアンスの違いを生んでいるものは、

宗教じゃないか?と思うんですよ。

 

アメリカは、キリスト教とユダヤ教が中心だと思いますが、

めちゃくちゃザックリと言ってしまうと、

この2つの宗教には奉仕と寄付が組み込まれています。

 

これは、教義の中に奉仕や寄付行為は、

隣人を愛することとつながるのかまでは知りませんが、

お金を稼ぐことと奉仕活動はセットなんです。

 

だから、終業前に街の清掃活動をする場合も、

日本の企業はわざわざ社名の入った制服などを着て、

地域貢献をしているところを見てもらうPR活動ですが、

アメリカの企業はそのまま地域貢献という奉仕活動です。

 

そういう宗教的な下地があるから、

アメリカのメーカーは奉仕の精神から、

ファンをひと時も飽きさせないファンサービスが生まれる。

 

一方で、マーケティング発想の理論をベースにしがちで、

アメリカのうわべだけを真似しようとする日本人が、

顧客が愛着を感じる度を顧客満足度と誤訳してしまうのは、

そこを理解できないからじゃないか?

と思うんですよね。

 

 

カルトブランディングとは真逆の事例

ナゴヤドームimage

 

これは個人的に勝手に思っているだけですけど、

中日ドラゴンズは近年ブランディングに失敗し続けている、

カルトブランディングとは真逆の事例だと思うんですよ。

 

中日ドラゴンズは、ナゴヤ球場からナゴヤドームに移転後、

観客動員数がイマイチなことで有名です。

 

落合監督の時代は、

落合野球が退屈だからファンが増えない、見にこない。

とメディアが書き立てていました。

 

個人的には、これは球団内の反落合派が書かせていた。

と思い込んでいるのですが、与田監督就任ごろからの、

落合人脈の完全排除っぷりを見ると、

あながち間違っていないんじゃないかな?

とも、勝手に妄想してしまいます。

 

ここで、いま改めて、

落合野球は本当に退屈だったのか?

を思い出してみます。

 

というか、落合監督が批判されるたびに、

ドラゴンズファンの友人とは、

「勝つ野球をしてくれるから落合監督がいい!」

と盛り上がったものでした。

 

落合監督は、

「勝つことがいちばんのファンサービスだ。」

と常々語っていたんですよね。

 

多くのドラゴンズファンは、

この言葉を有言実行する落合監督を支持していたし、

実際のところ、どんなに得点数が少なくても、

スポーツニュースで勝ち試合を観れる日が多い方がいい。

 

それに対して、現在のドラゴンズはというと、

試合を捨ててでも選手を育成したいのか?

やっぱり勝ちにこだわりたいのか?

ということすら選手起用がブレまくりで、

ファンとしても応援のしどころがブレてしまい、

フラストレーションが溜まりまくる日々です。

 

さらにいうなら、落合監督が辞めて以降も、

観客動員数は横ばいか、むしろ下がる時期もあって、

観客動員数が伸びない原因は落合監督ではなく、

球団のファンサービスのズレが問題だったことが、

明らかになったと個人的には妄想しています。

 

ちなみに、落合監督の、

「勝つことがいちばんのファンサービスだ。」

というフレーズは、カルトブランディングで重要な、

尖った強いメッセージそのものです。

 

ということは、中日ドラゴンズは、

「勝つことがいちばんのファンサービスだ。」

というメッセージを体現する試合をすることが、

熱狂的なファンを増やす最良の戦略じゃないかな?

 

と思うんですけど、落合アレルギーを持つ現球団主流派が、

その方針に舵を切ることはできないんでしょうね・・・。

 

 

まとめとして

情報が溢れる本棚image

 

本書では、今後活躍できる人材についても書かれています。

 

これは、今後の商品やサービスを作っていくだけでなく、

どんな業種でも必要不可欠なスキルかもしれません。

 

それってどういうこと?

 

と考えると、強欲がマーケットをいじりすぎてしまい、

単純な発想では物が売れない世の中にしてしまった。

ということなんじゃないかと思います。

 

実はみんな気づいていることなのですが、

世の中はいらないものだらけなんですよね。

 

スマホひとつとっても、日本のスマホが負けたのは、

意味のない機能が多い上に使い勝手が悪かったからですよね。

 

みんなひとりひとり、趣味嗜好に合わせて選ぶ時代に、

多機能を押し付けるのは嫌われる時代じゃないですか?

 

だから、スマホのデフォルト機能はシンプルでよし。

後は勝手にカスタムするから放っておいてよね。

 

というユーザーに対し、どうやって売ればいいの?

ってあれやこれやとやりすぎてしまった。

 

その結果、とりあえず見えたのは、

ブランドって強いよね。

 

信者のような熱狂的なファンを作るには、

カリスマ性のある教祖的なキャラクターがいいよね。

 

それって、先例を分析すれば真似できるんじゃね?

 

というのはカルトブランディングじゃないかな?

 

と思いました。

 

たしかに、ネットを検索しても情報が多すぎて、

もう何を選べばいいかわからない。

 

逆に言い換えれば、こんなに情報が溢れる中で、

どうやって見つけてもらえばいいのやら・・・。

 

という時代には、カルトブランディング以外、

方法がないのかもしれません。

 

読みやすい本なので、

あなたがビジネスマンなら読んで見てはいかがですか?

 

 

 

 

 セガもカルトブランディングの好例じゃないですか?

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 こちらはカルトでなくオカルト

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