日本人が、原子力発電の危険な部分を解決する研究をしていたんですって。
しかも、約60年前にです。
その研究成果は、世界の様々な思惑の中で、存在してないことにされ続けていたんです。
それが、近年、急に世界から注目され、次世代の主流技術になるかもしれないんですって。
でも、現在は実用化されるか、それとも名ばかりの危険なものになるかの分岐点にあるそうです。
今回は、原子力発電を変えるかもしれない次世代技術と、原子力の実情が垣間見える1冊を紹介します。
いま日本人が知るべき原子力の真実
著者:苫米地英人
発行所:株式会社サイゾー
初版発行:2022年7月16日
小型原子力発電は本物か?
原子力発電で、まず知っておきたいのは、そもそも日本の原子炉技術は現在の主流と比べると数世代前の原子炉を利用しているということです。
現在は、その世代遅れの原子炉が設計時に決めた耐用年数を迎えたというのに、検査と補修をすることでさらに10年以上利用しようとしてるわけで、現在停止している炉がなかなか再起動できないのは、古い自動車を修理しながら騙し騙し乗ろうとしてもよくエンストする感じに似て、原子炉も起動しようとしたら問題が起きて緊急停止したというニュースを聞いたことがある人もいると思いますが、ようするに検査を受けても合格できないくらい老朽化が進んでいるということのようです。
そんな、世界的に遅れた状況の中、2021年の総裁選挙のときに突如、候補者が小型原子炉について言及したんだそうです。
小型原子炉は、現在、世界で開発が進んでいる次世代原子炉なのだそうです。
この原子炉が、本書が取り上げる超小型原子炉から着想を得たもののようなのですが、どうも似て非なるものとなりそうなんだそうです。
その理由は、やっぱり世界の富豪のお金儲けが絡んでくるようなのですが、それを仕掛けている一人は、世界中の人が知っている新型コロナのワクチンのときにも名前をよく聞いた人のようです。
そういった状況の中で開発されている小型原子炉ですが、実際にお目見えしたときに超小型原子炉の思想をちゃんと受け継いでいるのか、それともまるで別物なのかは、現時点では一般人にはわからないんですが、超小型原子炉の技術が日本の研究者が安全な原子力を追求した結果として見つかったものだからこそ、日本に導入が決まったときに超小型原子炉か、小型原子炉化を見分けられる知識を国民が持っていた方がいいんじゃないの?
ということなんですよ。
超小型原子炉はオカルトなのか?
世界の潮流を抜きにして、超小型原子炉は発電と原子力の利用に関してパラダイムシフトを起こすとんでもなくすごい安全な技術で、本当に実現するなら少なくとも国内の電力事情なんて完全に解消してしまうほどのインパクトです。
ところで、この超小型原子力は、10年前に書籍化されたときはオカルト系出版のヒカルランドでした。
この技術は、10年前にはオカルト系出版社からしか発表できなかったのでしょうね。
でも、実際には国内でも大手企業で研究が進められていて、現在は世界で次世代原発の主流になるかもしれない技術だったなんて、いまでも日本人の90%以上が知らない話ですよね。
そして、超小型原子炉が安全な技術的な理由を知ったとしても、一般人にはにわかに信じられないわけです。
なぜかというと、日本には原爆が落とされて大きな被害が出たし、東日本大震災の原発事故についても正しい事故原因と被害の実際を報道が正しく伝えたとは言えないし、事故を正しく理解できない理由には東電経営者に対する大きな不信感も一因としてあるからです。
そもそも、日本人で原子爆弾と原子力発電で利用されるウランの濃縮度の違いを知っている人ですらごく少数だと思います。
そういった条件の中で、原子力が安全に絵利用できて、何かあっても勝手に停止してしまうから危険な事故すら起こらないだなんて、一般人には胡散臭いオカルトとしか思えないでしょう。
でも、現実は大手企業で研究が進み、世界の研究者からも注目される技術だということから見ても、オカルトではないですよね。
問題は、オカルトではないのにオカルトとされてきた理由は、想像以上に怖いんだなということでしょうか。
おわりに本書が本当に説きたいこと
いまさらですが、本書では超小型原子炉の可能性について語られています。
でも、本書が本当に伝えたいことは、超小型原子力はすばらしい!ということではないんですよ。
超小型原子炉の技術が使われているように見せかけて、実は別物の小型原子炉を主流にしようとしている人たちがいて、日本でも超小型原子炉ではない小型原子炉を導入しようと政府などが言い出したときに、それは日本の技術ではないということを一人でも多くの国民が知っている上で声を上げられるようにしようということなんです。
実際、本書では、世界的な動きのカーボンニュートラルについても疑問を投げかけています。
つまり、超小型原子炉の話題をトリガーにして、一見すると地球のために素晴らしいムーブメントに隠れた本当の狙いはこういうことなんじゃないの?という部分に気づいて少しでも損しないように防衛するために学び続けることの大切さを説いているんだと思います。
脱CO2にしても、太陽光パネル設置にしても、環境問題の裏に潜む世界的な仕掛けに高い視点から気づけるようになって、未来、奪われるばかりではなく自分で選択できる人になろうという部分が本当に大切なところです。
苫米地英人氏の本ではよくあることですが、タイトル通りに語られることの奥にもうひとつふたつ、本当に説きたいことが、ちゃんと読んでいると気づくようになっていることが多いです。
本書も、「私は原子力の話は興味ないから関係ないや。」
とスルーしてしまうのはもったいない内容です。
あと、個人的には、ブレークスルーのために発想の逆転が大切だとあらためてわかったのが収穫ですかね。
知的好奇心を満たすのに、視野を広げるのにちょうどいいオススメの1冊です。