日本の中でも、独自の酒文化を持つ沖縄。
沖縄といえば泡盛!
とはいえ、お酒が好きな人なら泡盛と九州の焼酎との関係が気になったり、泡盛と食文化について知りたいという人もいるのではないですか?
今回は、泡盛の歴史についてまとめられた本を紹介します。
泡盛が好きなら、泡盛学を極めましょう!
泡盛の文化誌<新装改訂版>
沖縄の酒をめぐる歴史と民族
著者:萩尾俊章
発行所:ボーダーインク
初版発行:2004年12月10日
新装版:2016年1月20日
泡盛の名前の由来
泡を盛る。
アジア地域に現在も残る、蒸留酒のアルコール度数の高さを確認する方法として、お酒を高い位置から注いで泡立ち方を観察するというものがあるんだそうです。
沖縄でも、かつてそうやって確認する方法が残っていた地域があって、そこから泡盛と呼ばれるようになったのではないか?
というのが、近年有力な説なんだそうです。
ちなみに、よく泡立つほうがアルコール度数が高く、たいていは1番泡立つお酒と2番目に泡立つお酒を混ぜて完成させるんだそうです。
前田慶次が刀傷を消毒していたのは泡盛?
江戸時代、焼酎はアルコール度数の高さから刀傷の消毒用として武士が利用していたんですって。
その中でも、泡盛はとくに薬効が高いとされ珍重されていたんだそうです。
マンガ『花の慶次』で、前田慶次が山上道及の刀傷を小便で洗い流したあと、お酒で消毒するシーンがあるのですが、それがもしかしたら泡盛だったのかもしれませんね?
泡盛は臭くてクセが強い!と悪印象を持たれていた時期は戦後だけの話?
大島渚監督の映画、『夏の妹』を知っていますか?
1972年の返還後の沖縄を描いた作品で、当時のコザの街並みや首里城の守礼門なども映っているので興味のある方にはオススメなのですが、その劇中で泡盛をくさいと言いながら飲むシーンがあります。
泡盛は昔から、米が手に入らない年はサツマイモや黒糖、あげくはソテツまで、黒麹で発行できるものならなんでも使って醸造していたそうなんですよ。
だから、戦後の進駐軍による禁酒令や土地の接収で農地を失い、泡盛を作るための材料が不足していた時期には、当然ですが醸造環境もろくに整っていない環境で粗悪な原料を使って泡盛を作っていたはずです。
そういう条件で醸造された泡盛が美味しいか?
香りが良くなるか?
と考えると、ちょっと難しいですよねえ。
泡盛の品質向上を目指して研究しだしたのが日本へ返還された1972年以降ですから、1972年ごろの泡盛はまだ質が低くて、味や香りのいい泡盛にはなかなか出会えなかったのは想像できますよね。
本書とは関係ない個人的な泡盛の思い出
ぼくのような、本州で生活する日本人にとって泡盛というのは、2000年ごろまでは沖縄料理のお店で残波が飲めるくらいじゃなかったでしょうか?
なにせ、九州の焼酎ですら名古屋で飲めるのは『いいちこ』や『二階堂』くらいで、ちよっとこだわったお店で『天使の誘惑』や『ダバダ火振』があるかな~?
という感じだったと記憶しています。
たぶん、2005年ごろから焼酎ブームで様々な銘柄をおくお店が増えていったイメージがあって、それとともに泡盛も飲める選択肢が増えたんじゃなかったかな?
『菊之露』のような有名銘柄だって、宮古島の酒造メーカーだからなのか名古屋ではあまり見かけなかった気がします。
菊之露は、ほかの泡盛に比べて甘い香りで口当たりもよくて、泡盛が苦手という人でも飲みやすいいいお酒だと思うんですけどね。
ちなみに、菊之露って元々は和歌山県出身の人が宮古島に移住して造っていた泡盛を引き継いだものなんですって。
だから、泡盛が苦手な人でも飲みやすい口当たりになっているのかな?
あ、話が脱線した。
実は、ぼくも泡盛は苦手というか、わざわざ選択肢ないお酒でした。
理由はやっぱり、クセが強くてたくさん飲めない感じがしていたんです。
でも、それは違ったんですね。
どうやら、名古屋の沖縄料理を出す居酒屋チェーンの料理が沖縄県で食べられている味と少し違っていたようなんです。
だから、泡盛が料理の味と合っていなかったんですね。
また、沖縄では泡盛を水で割って飲むことが多いようですが、この水割りというのが泡盛と料理を味わう上で大切のようなんですね。
沖縄で以前入ったお店では、すでに水で割った泡盛をカラカラという小さい急須のような形の器に入れて出てきました。
どうやら、泡盛は水割りにしたときに香りが立って旨みを感じやすくなるお酒なんですね。
それを飲みながら、「ああ、泡盛ってこういうお酒なんだ。」って気づかされたんです。
そして、有名な牧志公設市場のとあるお店で、店主さんが普段出していない泡盛を飲ませてくれたことがあったのですが、これが美味しかった!
その体験で、泡盛のイメージが一転して好きになったんですよ。
その泡盛がなんだったか、お教えしましょうか?
それは、咲元酒造の『咲元』です。
この醸造所は、首里城の近くにあります。
この咲元は、名古屋では見かけたことがないんですよね。
東京の沖縄料理のお店なら置いてるのかな?
個人的には、他の有名銘柄より旨味を感じて飲みやすい泡盛だと思っているんですけどね。
泡盛って、現在は50件くらいのメーカーがあるのかな?
もちろん、ぼくはまだ、ほとんどの銘柄を飲んだことがないので、今後もっと美味しいと感じる泡盛に出会うかもしれません。
でも、それがいいんですよね。
日本酒もそうですが、そう簡単には手に入れられないお酒もあって、なかなか制覇することは難しいですが、たくさんの種類があるからこそ、ある日突然の出会いがまだまだあるわけで、それが楽しみでもあるんです。
まとめとして
泡盛の他にも、沖縄には独自の食文化があります。
山羊料理は代表格じゃないですか?
そういう食文化と共に育ってきたお酒が、泡盛なんですよね。
沖縄の文化は、現在の泡盛で使われるお米がタイ米であることからもわかるように、アジア大陸の文化とも繋がっています。
つまり、泡盛を含めた沖縄の文化は離島も含めると膨大な情報量だと思いますが、本書は、約200ページの中に泡盛の成り立ちから沖縄の文化までをコンパクトにまとめられていて、沖縄初心者にも理解しやすい良書です。
沖縄はリゾート地としてたしかに素晴らしいですが、日本人ならその歴史や文化も大切に学びたいものですね。
そこには、本土に住む人たちにも大切な文化のルーツがまだまだ眠っているはずです。
ちなみに、沖縄には独自の出版文化があります。
皆さんも、沖縄に行った際には本屋で沖縄の出版社が発行した沖縄本をお土産に買ってくださいね!