書店をぶらぶらしていたら、
超現代の哲学小説登場!
の文字が目に飛び込んできた。
超!
現代!
哲学!
小説!
つまりこれは!
なんでもありのファンタジーってこと?
と、こんなことが頭に浮かんで、手に取らざるをえなかったんですよね~。
こういう本との思わぬ出会いがあるから、本屋の中をブラブラするのが好きなんですよ。
大いなる夜の物語
著者:清水将吾
発行所:株式会社ぷねうま舎
初版発行:2020年5月25日
この本をお勧めしたい人
- プロジェクトリーダー
- 部下がいる人
- 研究する人
- 商品開発する人
- 人生の壁にぶつかっている人
この本をお勧めしたい人のタイプはこんな感じです。
視点をずらしたり変えたりと、ものごとを色々な見方ができるようになった方が結果が出そうな仕事の人に読んでほしい一冊です。
哲学は意外と役にたつ
世の中では、哲学は世の中でいちばん役に立たない学問と言われることもありますが、たしかに哲学自体を学問するとちょっと人生の迷子になる可能性が高まるけど、先生やリーダーを目指す人、現在リーダー、部下を持って仕事をしている人はたしなみたい学問なんですよ。
いや、必須科目といっていいかもしれないですねえ。
その理由は、本書を読むとわかってもらえるんじゃないかと思います。
哲学のいいところのひとつが、視点を自由に変えられるようになることです。
複数の視座を持って操れるようになる、という言い方もいいかもしれません。
プロジェクト的なことを進めるリーダーは、みんなと同じ目線で話を聞いているだけでは失格です。
みんなから出てくるアイデアや収集した情報を、同じ目線で見つつ、ひとつ高い視点から見下ろせなければいけないんですよ。
できることなら、さらにひとつ高い視点から見下ろせるといいのですが、その一方ですべてのアイデアを水平に見たり、ひっくり返して見たり、2次元人の視点や4次元人の視点で見られるとスーパーリーダーになれるわけです。
スーパーリーダー?
なんだそりゃ。
自分で書いていてよくわかりませんが、新しいサービスや商品を開発するのも、街をよくするのも多くの視点、視座を操るスキルがある人しかリーダーはやるべきではないのですよ。
そうはいっても、ひとつ上の視点から見下ろすなんてどうやって身につければいいの?
と途方にくれる人が多いのも事実で、日本の学校では思考法は教えてもらえないんですよね。
複数の視点を身につける方法は色々とあるにはあるのですが、だれでもできる方法のひとつが多読で、その中でも哲学的な思考法を身につけることなんです。
でも、気をつけたいことがあるんですよ。
それは、哲学の古典にいきなり手を出さないほうがいいということなんです。
そもそも、哲学が敬遠される理由ってある程度の知識レベルに達していないと、手にとった哲学書が何を言っているのかチンプンカンプンで終わってしまうからなんですよね。
うっかり、カントの純粋性理性批判などを手にしてしまうと、回りくどい言い回しに頭を混乱させられるし、その哲学書が書かれた文化的な背景や歴史背景をすこしは知っていないとオカルト的な解釈をしてしまって人生の迷子一直線です。
それに、正直に言ってリーダー的な視点を持つためなら、古典を読み込むまでのことはしなくても大丈夫なんです。
上辺というと語弊がありますが、哲学的な気づきを得るためならエッセンスから学べば間に合うんです。
ということで、哲学的な発想法を知るには本書はぴったりじゃないかな?
と思います。
しかも、本書は小説の体裁で書かれていて文字が大きく挿絵も多いので、2時間もあれば読めてしまいます。
でも、内容はなかなか深いので、コーヒーを片手に1章ごとじっくりと時間をかけて読み進めるのをお勧めしたいですね。
個人的に好きだった話
プレッツェルの穴を増やす方法についての会話シーンは好きです。
あと、宇宙の構造の話も個人的に気づきがあってお気に入りです。
プレッツェルの話は、研究開発に関わる人は知っておきたいモノの見方だと思います。
宇宙の構造については、人間関係に悩んでいる人が読むと気が楽になるきっかけになるんじゃないかな。
悩みの解決法を見つけようとして、スタンフォードなんちゃらとか、なんちゃら思考法みたいな本をせわしなく乱読するより、本書でちょっとした思考実験を小説の中でゆっくりと味わいながらコーヒーでも飲んでいる方が、あなたの悩みを解決するアイデアがふわっと降りてくるものですよ。
まとめ~脳が成長する一冊
本書のいいところは、たぶん、読んでいる最中に普段はセーブモードになっている脳が活発に動くことじゃないかと思うんですよ。
脳って意外と、仕事中や学習中でもルーチン的な作業をしているときはあまり活動的じゃないんです。
脳は、本気で活動するとエネルギーの消費量が半端じゃないうえに、無意識の部分で内臓の活動や身体の動きを制御しているので、過去に経験したことでルーチン的な活動は上手にサボるようにできているんです。
でも、本書のような常に情景を思い浮かべながら読み進める小説の中で哲学の思考実験まで繰り広げられる展開は、脳にとっては日常生活からはみ出たインプットとアウトプットが物語とともに繰り返されるので、楽しんで読み進められる人の脳はめちゃくちゃ活性化されているはずなんですね。
この本をカバンに忍ばせておいて、休憩時間に少しずつ読み進めるのもいいと思いますよ。