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経済のニュースが苦手な人に読んでほしい1冊~デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる!

朝日が昇るイメージ

 

ベーシックインカムの話は、コロナ前からテレビのニュースなどでも度々取り上げられるようになったので、聞いたことのある人も多いでしょう。

 

でも、実現はなかなか難しそうですよね。

 

理由はなんとなくですが、国民の幸福はは考慮されない部分での反対が多い気がしないでもないかな・・・。

 

それでも、日本の将来を考えると、いまベーシックインカムを導入することで衰退から逆転できる好機だとおもうんですけどね。

 

さて、本書はそんなベーシックインカムの学者などが語っている反対理由にたいして、デジタル技術でこうすればその問題は解決できますよ。

という提言が書かれた1冊です。

 

 

 

デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる!

デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる!

著者:苫米地英人

発行所:株式会社サイゾー

発行日:2021年12月16日

 

 

 

 

 

本書の特徴

知識の宝庫イメージ

 

本書はトータルで94ページと少ないページ数ですが、ベーシックインカム導入の前提として現在、新型コロナで顕在化した社会問題をわかりやすく丁寧に説明しています。

 

もちろん重要なのは、どのようにすればベーシックインカムが可能になるかという部分ですが、個人的にはベーシックインカム導入のための前提として述べられている日本のお金の仕組みの説明が、経済学者などが書くより簡潔でわかりやすく秀逸に感じました。

 

ですので、これまでにニュースなどで経済の記事には興味があるんだけど、いざとなるとわかりにくくて途中で挫折しちゃった経験のある人にお勧めしたいです。

 

というのは、マネタリーベースの意味や日銀のできることが理解できているのと、いないのとでは、そもそもどうして日本国民の多くが長年苦しい立場におかれているのか、ニュースでよく言われる将来の若い人が抱える借金の意味が大きく変わってくるからです。

 

 

ベーシックインカムとは

簡単に言ってしまえば、2020年にコロナの経済対策として配られてた定額給付金が、個人に対して毎月、もしくは毎週配布されるイメージです。

 

重要なのは、配布対象が『世帯』ではなく『個人』なので、全国民が平等に受け取れることです。

 

現在、給付金が世帯主に振り込まれるために実際に苦境に立たされている人の手に渡らないのでは?という問題が話題になっていますが、個人に対してであればその心配はなくなり、お金の問題で生きることをあきらめる人も減るはずです。

 

マネタリーベース

マネタリーベースというのは、経済を勉強していない人にはなんだかよくわからない言葉ですよね?

 

この、マネタリーベースの意味がわかった上で、日銀当座預金と国債と通貨発行権、それぞれがどのような役目を持って関係しているのか?

そこがわかってくると、ニュース番組が毎度垂れ流す国の赤字の話や増税の是非についても見え方が変わってくると思います。

 

とにかく、本書ほど短い文章で簡潔にわかりやすく国のお金の話を解説しているものはないと思います。

 

 

 

個人的にベーシックインカムが必要だと思う理由

夕焼けの街イメージ

 

個人的には、ベーシックインカムは期間限定でも実施するべきだと思っています。

 

まあ、期間限定だと次の世代に公平ではなくなるので永久の方がいいわけですが、たとえ限定でも実施するべきだと思う理由は、現在の日本国内には未来を担えるベンチャーが少なすぎると感じるからです。

 

正確な数字はわからないですが、現在、起業して作られるものは飲食店が多いのではないでしょうか?

 

もし、ぼくがいま会社を始めるとしたら、やっぱりカフェなどの用途付きのお店だと思います。

 

それ以外にチャレンジできる土壌が、いまの日本にはないと思うんです。

 

あと、会社を育ちそうなオリジナルの技術シーズが大学にも少なすぎる。

 

おそらく、現在の大学で研究されている技術シーズの多くは、国立大学の上位数校で研究されているものですが、そのシーズの数も絶対数が少なすぎると思いますが思います。

 

その理由は、研究室が高度な研究を続けるためには、経産省などの大型の助成金を得るか、大手企業と組んでまとまった共同研究費を得る以外ないからで、研究費が取れない教授は優秀なドクターをたくさん研究室に在籍させることができません。

 

ということは、一部の研究室以外は研究者が足りないということで、それはつまり大学で研究したい人がたくさんいも、収入が得られないために大学で研究を続けられないという現実につながっているんです。

 

これは、将来、日本の産業を支えられる産業に育つ可能性のあるシーズの絶対数が少なくなる原因に直結し、それは現在の日本の姿そのものなんですよ。

 

この現状を変えるためにも、たとえ10年間限定であってもベーシックインカムを導入し、最低限の生活を保障するべきなんです。

 

大学院に行っていない人には必要ないんじゃない?

という意見もあるかもしれませんが、そこは本書にあるとおり、近い将来どんどんAIが仕事をするようになるのは間違いないので、これからは全員が仕事の概念を更新していく必要があります。

 

つまり、仕事が収入を得る手段から、

社会にどう貢献していくか?

 

という考え方に変わっていくと思うんです。

 

すると、仕事を人の代わりにロボットやコンピュータがする時代には、ベーシックインカムはすべての人に必要な制度だと考えるべきなんです。

 

それでも、立場などによって色々な反論があると思います。

 

そういう反論に対して、丁寧に答えているのが本書です。

 

 

最後に本書をオススメしたい人

見え方が変わるイメージ

 

ぼく自身は、本書の内容に疑問がまったくないわけではないし、正直、コロナで生活基盤がボロボロになった人が多くいて、自死を選んでしまった人が多くいるうえにまだその選択をする人が続きそうな現在に、これがまだ実現しそうにないことにむしろ絶望を感じなくもないです。

 

でも、それでも本書の提案は、停滞どころか衰退が止まらない日本には必要不可欠なことだと思います。

 

2020年までに比べ、2021年の衆院選前後からは国民の声が届きやすくなってきたように見えます。

 

「あまり難しい経済話は苦手なんだけど。」

と思っている人が本書に目を通すと、目からウロコでいっきに世の中の見え方が変わって面白いんじゃないかと思うのでオススメです。

 

 

 

 

 

 

 

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