コンドーム自販機・・・・
それは思春期の青年にとって、街の中で近寄りがたい聖地だった。
コンドーム自販機を巡る旅~コンドーム自販機もレトロガジェット
作者:ヒラタ
印刷:株式会社 RED TRAIN -ONE BOOKS-
初版発行:2017年3月26日
この本を手に取る数日前に、
「久しぶりに見た!」
と思い、撮影してしまった写真がトップ画像です。
自販機を見て数日後にこのZINEと出会うなんて、何か縁を感じちゃいますよね。
そんなに大げさなことじゃないって?
まあ、そうなんですけどね。
レトロガジェットの定義とは?
個人的には、副題の『コンドーム自販機もレトロガジェット』という言葉に目が止まったんですよ。
著者のヒラタさんは、コンドーム自販機を探すためにGoogleマップで薬局を探しては街を歩いていたそうで。
ボクも最近、昭和を感じる建物とか町並みを見るのが好きで、まち歩きをするんですよ。
インスタントカメラは最近復活して、若い女性を中心に利用されているようですが、ボク的には一昔前の街角でよく見かけた『プリント特急仕上』の文字のほうにグッときます。
レトロガジェットという狭い範囲に絞ると、何が当てはまるんですかねえ?
ちなみに『ガジェット』を大辞林で調べると、
ということなんですが、なんのことをいうんだろうなあ?
例えば、35mmハーフサイズカメラは当てはまる気がするんですけど?
PENTAXのPEN EESです。
ちょっとカスタマイズされてますけど。
これは、フィルムも現像代もまだまだ高かった時代に、一般的なフィルムの一コマに2枚撮影しちゃおうという節約的発想のカメラだったんですよ。
でも、フィルムの1コマを半分にすると、単純に画質もハーフになっちゃうんですよ。
だから、だったのかはわかりませんが、あまり人気が出ずに消えていった規格なんですよね。
それ以外にはなんだろうな。
レーザーディスクも、レトロですよね。
あとは〜〜〜、
おでん煮込み用ストーブ。
え?別におでん専用じゃないって?
焼き餅専用七輪は?
これも専用じゃないって?
でも、これはレトロガジェットじゃないですか?
麦茶冷やし
井戸の冷たい水で冷やすのに使ったんですって。
みにくいアヒルの子なのか?
こうやってレトロガジェットってなんだろう?と考えて行くと、著者のヒラタ氏が「コンドーム自販機はレトロガジェットとなかなか認めてもらえない」と言う理由もなんとなくわかるような気がしてきます。
なぜなら、コンドーム自販機は『現役の自販機』として小さな薬局の前に鎮座しているのを見ることができるからなんですよね。
これが、一昔前はバスの停留所とか地下街のタバコ自販機の横に結構な存在感で鎮座していた『チューインガム自販機』のように、今もし見つけられて、さらに現役で動いているのに出会うことができたら、どんなに話し下手な人でも1時間は盛り上がれる!
と言うようなレアモンスターにはまだなれていないからなんじゃないかな?
ポケモンGOで表現するなら、
チューインガムの自販機はミュウツー
コンドーム自販機はピカチュー
みたいな。
ピカチューってまあまあ遭遇できるじゃないですか。
でも、遭遇するたびテンションは高めになりません?
コンドーム自販機って、そんな存在だと思うんですよね。
ただ、コンドーム自販機はレトロガジェットではない!
とは言い切れないんですよ。
理由は2つ。
1つ目の理由は、
放置状態の自販機が多いことです。
薬局も最近は大型店が増えて、コンドームは大箱で2箱いくらの特価で買えるようになりました。
あと、度胸さえあればコンビニでも買えちゃうんですよね。
そう言う環境下で、個人経営の小さな薬局はどんどん閉店しています。
そんな薬局の前に鎮座しているコンドーム自販機は、役目を終えて中身が空っぽのまま放置されていることが多いんですよ。
もしかすると、今後、Suicaやmanacaなどのお財布機能付きICカードに対応した自販機も出てくるかもしれませんが、あの閉店した薬局の前で独りぽつんと佇む姿、シンプルすぎる機能は、レトロガジェットと言ってもいいじゃないですか?
2つ目の理由は、
冒頭の言葉にあります。
それは思春期の青年にとって、街の中で近寄りがたい聖地だった。
小学生の頃には、明るい家族計画と書かれた謎の自販機。
中学生から高校生までは、薄ら笑いで斜め見するか、じゃんけんの罰ゲーム的存在。
大学生以降は、甘酸っぱい思い出。。。
ですかねえ。
まあ、もしかするとこれらは中年の世代にしか当てはまらないのかもしれませんね。
でも、アラフォーやアラフィフにとっては、あの自販機を見るたびに様々な時代の思い出が頭をよぎるんだと思うんですよ。
そんな人生のあらゆる記憶に結びついて哀愁と郷愁を引き起こすコンドーム自販機は、
レトロな記憶を呼び起こすガジェット
と言ってもいいのではないでしょうか!?
という感じで、
小さなサイズで少ないページでも、
呼び起こす気持ちはでっかいどー北海道なZINE、
コンドーム自販機を巡る旅
なのでした。