この数年、新しい働き方について書かれた本が増えましたね。
本書はその中でも、いかにも若い人の稼ぎ方だな、と思われがちな1冊なのですが、読んでみると若い人向けの自己啓発書というより、アラフォー以上の世代こそ頭の中をアップデートするために読んでほしい内容でした。
無駄なことを続けるために - ほどほどに暮らせる稼ぎ方 - (ヨシモトブックス)
著者:藤原麻里菜
発行:ヨシモトブックス
発売:株式会社ワニブックス
初版発行:2018年12月7日
本書を読んで受けた著者の印象
著者の藤原さんは、元吉本芸人だったんですね。
とはいえ、現在も吉本とマネージメント契約をしているようなので、表現方法が違うだけで広い意味では芸人さんなのかもしれないですね。
文章を読むと、真面目な性格の人なんだろうなという印象を持ちました。
なんというか、無駄なことに真摯に向き合っている。
という感じで、だから現在まで続けられて評価もされるようになれたんでしょうね。
きっと、応援したいと思われる人柄なんだろうな。
普通の人が腑に落ちる拡散や稼ぎ方の解説
新しい働き方や稼ぎ方の書籍は近年たくさん出版されていますけど、超有名な作家さんの書籍でなんだかはぐらかされたような気分になっていた人には、本書のほうが腑に落ちると思います。
どうしてかというと、本書は内容をそのまま再現できるかは別ですが、藤原さんの試行錯誤してきた様子が等身大で身近に感じられるんですよ。
本書を読んでいると、藤原さんが作品を見てもらうために勉強して、ほかの人気のある人を研究したんだということが良くわかるんです。
そういう、『調べて試し続ける』のは、実は誰でもできるわけではない優れた能力だったりするのですが、あることをきっかけにできるようになる人はいるんですよね。
読んでくださっている人の中にも、小学生のころ夏休みの宿題を最後に1日で泣きながらやりきった人がいるんじゃないですか?
あとがないと思えるくらい追い込まれると、みんな必死になれるんですよね。
あとはやっぱり、
誰かに認められた、
面白いと言ってもらえた、
という経験をすると、
「もっと良くしよう!」
「もっと知ってもらいたい!」
と思って、いい方法がないか必死になりますよね。
40代としてやはり引っかかってしまう「行動問題」
第2章のぼんやりとした思考を「分かる」
では、考えるより先に作ることが才能を知るきっかけになったことが語られています。
考えるより先に作る
つまり、
考えるより先に行動する
ということですが、会社員にはこれがなかなか難しいと感じるのではないでしょうか?
多くの会社が減点法で職務成績を評価する中で、長年、と言っても3年も働けばしっかりと脳に染み付くのですが、少しでも減点されないように無難に働くことが習慣になっている、または、なっていた人は、無意識に躊躇して足が止まってしまうんですよ。
みんな本書のような話を読んで、「そうだよな!まずは行動だよな!」と感化されても、残念ながら5分後には失敗を避けながら行動できそうな方法を頭の中でグルグルと考えているんですよね。
考えるより先に行動って、とくに40代以上のサラリーマン経験が長い人は本当に苦手なんです。
でも、著者の言うように、たしかにやってみることで自分の得意と不得意が見えてくるんですよね。
ぼくの経験「やってみてわかった不向きなこと」
手前味噌の話で申し訳ないですが、ぼくはカウンセラーとしてコミュニケーションできる場所を作りたくて、2年前にストレイバードという名前で本をきっかけに会話ができるサロンを瀬戸に作ったんですよ。
で、当初は認知されるまで毎日開店させようと思っていたんですが、これができなかったんですよね。
実際にやってみてわかったのですが、ぼくは同じ場所で丸一日じっとしているのが苦手だったんですよ。
思い起こせば、ぼくは会社員時代にだって何か理由を作っては外出していたんです。
それなのに、いつ誰が来るかわからないお店にずっと座っていられるわけがなかったんです。
だから、現在はお問い合わせがあった時と毎月20日だけはオープンしながら、別の方法を試しているところです。
まとめとして最後に共感したこと
あとがきで著者の藤原さんは、希望を語っています。
いまの社会で生きづらい人たちが、少しでも自分らしく生きられるようになってほしいって。
藤原さんの働き方は、現在は誰でもできるかというと難しいかもしれないですね。
誰もが無駄なことを仕事にできるような土壌は、やっぱりまだまだ日本にはできていないと思うんですよ。
あなたが20代前半までの年齢なら、チャレンジできる土壌は十分にありますよ。
ぼくの知り合いにも、好きな絵を描くために深夜の仕事をしている人はいますから。
でも、ぼくと同世代のアラフォーくらいの人がチャレンジできるか?
というと、まだちょっと厳しい。
でも、近い将来なら、中年以降の人でも無駄なこと、つまり自分の面白いと思えることを優先できる働き方ができる土壌ができていく気がします。
なぜなら、近年になって労働者と経営者の意識のズレが大きくなってきたからです。
もう、ズレてできた溝が埋められないほど。
現在はその溝を無理やり外国人労働者とか、就職氷河期世代への国家的な無理強いで強引に塞いでいるけど、それにも限界が見えたから、2019年になって急に中年ニートの救済策なんていう今さらな話を政府がし始めたじゃないですか。
でも、選挙対策で実施する政策なんて、効果があった試しがないじゃないですか。
だから、8月31日に泣きながら宿題をする子供みたいに、もうすぐ現状に我慢できなくなったたくさんの中年が「なんとかしよう!」と動き出すはずなんですよ!
たくさんの中年が動き出せる時は、若い世代にとってはすでに当たり前に自分らしく生きられる世の中になっているはずです。
その時のために、『無駄なことを続けるために』は、アラフォー以上の世代の人こそ一読しておきたい1冊だと断言しておきます。
無駄なことを続けるために - ほどほどに暮らせる稼ぎ方 - (ヨシモトブックス)
- 作者: 藤原麻里菜
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2018/11/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (1件) を見る