織田信長は、言わずと知れた日本史上最強レベルの超カリスマですが、真の姿がどれだけ伝わっているのか疑問の残る人物の一人ですよね。
だからこそ、漫画やアニメで様々な姿に描かれるんでしょうね。
近年になって、信長の実像を描こうとした著作をパラパラと見かけるようにもなりました。
毎年毎年、マンガや小説だけでなく、人物像を描こうとする伝記や歴史書の新刊、それどころかビジネス書まで発行される人物なんて、他にいますか?
そういう見方をするだけでも、織田信長という人物のカリスマ性がわかりますよね。
さて、織田信長の姿を伝える歴史書は3つあるそうです。
その中でも、ルイス・フロイスいう宣教師が書いたとされる日本史に出てくる信長が詳細に描かれていて、近年の信長研究では重要な書物なんだそうです。
今回は、そのルイス・フロイスの著した『日本史』から織田信長の実像を語ろうとした書籍を紹介します。
時空旅人編集部 編
初版発行:2018年9月13日
発行元:株式会社三栄書房
宣教師ルイス・フロイスとは?
ルイス・フロイスはイエズス会の宣教師で、フランシスコ・ザビエルの跡を継ぐかたちで日本でキリスト教の布教活動をしていた人です。
当時の織田信長とは2歳違いで、なぜかウマが合って何度も会うことが許された人物だったんだそうです。
1563年に来日し、運良く織田信長に気に入られ国内での布教活動御免状をもらえたフロイスは、戦国時代の大きなうねりを間近で見聞きすることができたんですね。
その環境と素晴らしい記憶力のおかげで、日本人すら残せていないほど詳細な織田信長の姿を残すことができたんだそうです。
ただ、その記憶力と細かに残そうとした、ある意味マニアックな性格が、報告書として書いた日本史が日の目を見るのを大幅に遅らせたのですが・・・・
その辺りは、ぜひ本書で楽しんでください!
織田信長を知る上で重要な3冊とは?
一つはルイス・フロイスの日本史。
後の2冊は日本人の書いたものです。
信長公記
「しんちょうこうき」と読みます。
太田牛一という信長の元武将が書いたもので、一級史料と言われています。
甫庵信長記
小瀬甫庵という学者の書いたものです。
ただ、面白さ優先で書かれたもので、誇張表現がけっこうあるんですって。
そして、現在信じられている歴史上の信長の姿にずいぶんと影響を与えているんだそうです。
一夜城の話なんかも、この本の影響のようです。
だから、現在は歴史小説として扱われることが多いようです。
フロイス日本史の信長はマンガ日本史より過激
信長の親の葬式で抹香を投げつけたという有名な逸話があるじゃないですか?
フロイスが著した日本史に出てくる逸話は、もっと過激!
こっちを教科書とかマンガ日本史に書けばいいのに。
っていうか、ムリ。
この信長は、子供に教えられないトラウマレベル。
あと、この話がメジャーになったら、現代でも坊さんの評価が下がるよ。
この部分を読むだけでも、本書を買った価値があったと思いました。
戦国時代の日本の女性はたくましかったんだね
フロイスが見た戦国日本の意外な姿
という項目も面白いですよ。
ぼくが特に気になったのは、日本では男性が食事を作る。厨房に行くことを立派なことだと思っている。
というところ。
あと、夫婦についてヨーロッパと日本を比べたところでは、日本の妻は自由に振る舞えて、財産は夫婦別に自分のものを所有していること。
時には妻が夫に高利で貸し付けたって言うんだから、明治以降の日本は後進的でダサい国になったんですね。
日本がいまも、戦国時代の夫婦感を維持していたら、世界中から絶賛されていただろうね。
まとめ 信長のカリスマ要因
本書を読むと、織田信長という人物が、
どうしてこれほど現代人に受け入れられるのか?
ということのヒントが見えてきます。
まず、宗教観が現代人に近い。
神仏との距離感が現代的なんですよね。
あと、これはマンガなどでも描かれる姿ですが、地球儀を見てこの世の姿をすぐに理解したこと。
信長はおそらく、自分の住む場所を宇宙から見ることができたんでしょうね。
だからこそ、異国の宣教師の話すことを受け入れることができたのだと思います。
それって、意識している人は少ないですけど、現代人はほぼ全員できていることです。
その視点の高さが現代人と相性がいいから、学ぶところも多いのかもしれませんね。
ぜひ本書を読んで、織田信長の持つカリスマ性の一因と真似できそうなところを見つけてください。