ストレイバード はぐれ鳥の止まり木

瀬戸市の読書コミュニティスペース ストレイバードの日記です。主に昭和の微妙な本、珍本、奇本を中心に紹介しています。

フランスが空き店舗を解消した方法-書評フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか

フランスの街のイメージ

 

ぼくは昨年から、とある商店街のお店再生にかかわらせていただいているんです。

 

あなたも旅行や出張で地方へ行ったとき、その地元の商店街がすっかりシャッター街になっているのを見たことがあるんじゃないですか?

 

そういう商店街へ入ると、お年寄りがシルバーカーを押しながらトボトボと歩いている風景くらいしか見かけないんですよね。

 

もう、歩いていても寂しい気持ちになって気分が落ち込むばかりじゃないですか?

 

と言いながら、ぼくはそういう商店街を歩くのが好きで、むしろテンションが上がっちゃうんですけどね。

 

とはいえ、シャッター街になった商店街は、日本の解決しなければいけない課題の重要なひとつだと思っているんですよ。

 

その理由は後述するとして、今回は商店街の再生のヒントになるかもしれないと思い購入した1冊を紹介します。

 

 

 

 

 

フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか: 交通・商業・都市政策を読み解く

フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか

交通・商業・都市政策を読み解く

著者:ヴァンソン藤井由実・宇都宮浄人

発行所:学芸出版社

初版発行:2016年12月1日

 

 

 

それなりに大きな都市でも衰退している商店街

シャッター街のイメージ

 

ぼくは名古屋に住んでいるのですが、国内でも5大都市のひとつなのにもかかわらず、名古屋市の商店街もほとんどが衰退していて、いわゆる商店街として機能しているのは片手で数えられる程度です。

 

正直、姫路市の新幹線駅から姫路城まで続く商店街や、高松市の丸亀商店街やライオン商店街を見ると、うらやましく感じます。

 

名古屋にも大須商店街という大きな商店街がありますが、ちょっと微妙なんですよ。

 

なぜかというと、現在の大須商店街はどちらかというと観光客に向けたお店が多く、地元の人も利用するのですが、歩き喰いする唐揚げ屋のような若年層向けのお店ばかりになって面白くないんですよ。

 

最近は、アパレルショップなども大須から矢場町側に移転するお店が増えているようです。

 

名古屋の例ばかりで申し訳ないですが、もう一つの有名な商店街、円頓寺商店街は地域密着型の地元の人が使う商店街でいい感じです。

 

この商店街は、現在は飲食店の方が多い印象ですが、名古屋歌舞伎のカブキカフェなどもできていて、今後はもっと面白くて地元の人に愛される商店街になっていくと思います。

 

このように、名古屋には大須商店街と円頓寺商店街という2大商店街がありますが、住宅街に昔からあって、昭和の時代には賑わっていた商店街の多くは、シャッターがしまっているか、もしくは住宅に建て替わっていて、今後、商店街としての再生が難しくなっているものがほとんどなんです。

 

衰退した理由は、ここではちょっと書きにくい事情もふくめ様々ですが、大きく影響したのはやはり大型ショッピングモールの乱立と、商店主の高齢化でしょうね。

 

 

 

フランス地方都市の商店街が元気なヒミツ

フランスのトラムのイメージ

 

日本も同じですが、フランスの地方都市では以前、自動車がないと生活が難しい環境だったんだそうです。

 

そういう環境で、大型ショッピングモールができ、駐車場の少ない昔ながらの商店街は人が遠のき、シャッター街になっていったんだそうです。

 

って、それって現在の日本の商店街そのまんまですね。

 

そこで、フランスの地方都市はいろいろな対策をしていくんです。

 

その中で、まずは自動車がなくても商店街に出かけられるようにするための改革を進めるんです。

 

たとえば、自転車レンタルや自動車のライドシェアです。

 

それと路面電車の整備を進めたんだそうです。

 

路面電車を商店街のなかに走らせることで、高齢者でも買い物がしやすくなると。

 

そのような自動車がなくても繰り出せる街づくりをすることで、今度は街に歩行者専用空間を作っていったんだそうです。

 

日本でも、自転車レンタル(シェアサイクル)は増えてきていますよね。

 

名古屋では、路面電車の整備が議論されているとかいないとか。

 

おそらく、高齢化が進んで自動車中心の街づくりが限界に近づくと、路面電車が改めて脚光をあびるんでしょうね。

 

 

 

これが一番強烈な対策かな?

のぞいてみている猫のイメージ

 

でも、日本ではちょっと真似できないかも?

と思うシャッター街対策があるんですよ。

 

それは、

1年以上の空き店舗には課税

です。

 

これ、すごくないですか?

 

通りに面する店舗物件を持っている人は、街の機能を維持する義務があるというわけです。

 

だから、長期間、シャッターを閉めたまま放置するのはやめてくださいね、と。

 

空いたらすぐに次のお店をやりたい人に貸してくださいね。

というわけです。

 

日本では、商店街の店舗物件は奥や2階が生活空間になっているものが多いので、店主さんが高齢化で廃業した後も店舗物件に住んでいることが多いんですね。

 

だから、静かに暮らしたい人は店舗を貸したくないという人もいらっしゃるんです。

 

日本のそういう状態では、空き店舗税をかけるのは難しいとおもうんですよね。

 

ちなみに、フランスでは空き店舗を市が借りて、市が新しいお店を誘致するということもしているようです。

 

そこまでできるなら、日本でも・・・、と思うのですが、代わりの住居をどうするのか?という問題も出てくると思うので、実現は難しいでしょうね。

 

 

 

最後に

賑わう商店街のイメージ

それにしても、タイトルを改めて読むと、すごくないですか?

 

シャッター通りが少ない、じゃないんですよ?

 

シャッター通りがない、なんです。

 

フランスの地方都市から、シャッター通りをなくしてしまったんですよ。

 

先述したように、路面電車の整備や弱者を切り捨てないまちづくりなど、公共福祉の充実の一方、1年以上の空き店舗に課税するなど、かなり強力な手段を使っているのも特徴です。

 

現状の日本では、福祉面でも空き店舗への課税も、思い切った整備はできないでしょうね。

 

それは、欧米的なきっぱりとした進め方にいい面と悪い面があるように、日本的なソフトで一見曖昧な進め方にも悪い面だけでなくいい面もあるんですよ。

 

ただ、空き店舗への課税のような政策は、新しい仕事を生むきっかけになるはずなので、ぜひ参考にして欲しいですよね。

 

 

本書には、今回取り上げた部分以外にもシャッター通り対策がたくさん紹介されているのですが、本書が一般向けではなく専門的なレポートで小難しいので、興味がある人はぜひ本書を手にとってじっくりと読んでみてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

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