あなたは、子どものころに買った本で捨てられずに現在も本棚に残っているものはありませんか?
今回紹介する本は、ぼくがずっと捨てられずに持っていた、そんな1冊です。
本を開くと、端々からファミコン全盛期の時代の香りがただよてくる気がしていいんですよ。
テレビランドわんぱっく83
ファミリーコンピュータ大図鑑PART6
発行所:徳間書店
初版発行:昭和60年10月30日
紹介されている当時の新作ゲーム
ワープマン
プーヤン
ハイパースポーツ
シティコネクション
スーパーマリオブラザーズ
バトルシティ
10ヤードファイト
内藤九段将棋秘伝
ゲイモス
ドルアーガの塔
ルート16ターボ
個人的には、ワープマンが懐かしいなあ。
ワープマンって、たしかファミコンで発売される前に、カシオのゲーム機で発売されているはずなんですよ。
というのも、ぼくが初めて買ったもらったゲーム機はファミコンではなくなぜかカシオのやつで、コントローラーがスティックだった記憶があるんですよね。
で、むかし名古屋にあったウォッチマンっていうお店でカセットを買ってもらった記憶があるんですけど、そのゲームがワープマンだったはずなんですよ。
ゲーム名が違ったとしても、ゲームのシステムは全く一緒だったはず。
ちょっと検索してみたら、れとろゲーム回顧の館というサイトにありました!
そうそう!
ワープマンじゃなくて、ワープ&ワープだ!
どうやら、PV-1000という機種だったみたいです。
雑誌じゃないのにプレゼントもしていたんですね。
アイレム販売とセタが、ファミコン世代にはなんとも泣かせる会社名ですよね。
本書の構成
いや、構成だなんてそんな真面目な話をしようというわけではないんですよ。
単に、むかしの本ってこんな感じだったなあ、という懐かしさを語りたいだけです。
むかしの子供向けの本って、最初の数十ページはカラー写真で、途中から2色か3色印刷になり、全体の4分の3は単色印刷じゃありませんでした?
しかも、単色も特色なのかなあ?
本書のほとんどのページは、シアン1色か、マゼンタ1色。
そんな構成で1冊ができていたんですよね。
それは多分、当時の製版技術の問題で、カラー写真をたくさん扱うのは大変だったんだと思うんですよ。
だから、2色印刷以降は写真はほぼなくて、オリジナルのイラストで解説していくような構成になっていたんじゃないかな?
蛇足:DTPの話から子どもの買える値段の話
ちなみに、デスクトップパブリッシング(DTP)の概念が提唱されたのが1985年ですから、この本が出版された年なんですよ。
それまでは、職人さんがパソコンではなく、専用の電産写植システムなどを使って印刷用のハンコを作るためのレイアウトシートを文字通り切ったり貼ったりしながら作っていたんですよ。
そんな専門職人が活躍する世界で、「Macがあれば誰でも机の上で印刷用のデータが作れますよ。」なんていう話がアメリカから発生したわけです。
でも、初代Macが登場したのが1984年ですから、昭和60年なんてまだ日本ではDTPは普及どころか日本語対応の問題などで、「ほ~、それは面白いなあ。」とワクワクする一部のオタク的な人間が食いついただけで、印刷会社のほとんどは様子見だったはずです。
なにせ、ぼくが印刷業界に入った2000年ごろでも、まだ「あそこの会社はデジタル化に乗り遅れた。」なんていう話が普通にされていましたから。
つまり、1985年から15年経ってもまだデジタル化に移行途中だったのが日本なんですねえ。
写真原稿のフィルムがほとんどなくなったのは、2003~2005年ごろじゃなかったかなあ?
話が逸れましたが、1985年だから令和2年現在から35年前はまだ、ビデオデッキを持っている家庭すら少なかった時代で、CDもなければ携帯電話もない時代です。
当時は、カラー写真を印刷で再現するために4色のハンコを作成するコスト、印刷機の性能など、さまざまな条件を考えると、1冊の本をフルカラーで作るのは本当に大変だったんだろうなと思うんです。
しかも、子ども向けの本でしょう?
当時580円でも、子どもには高く感じる値段ですよね?
子どもが買える値段にしようと思うと、フルカラー印刷のページを少なくするしかなかったんだろうな。
マスコットキャラクター
これ、わんぱっくくんなのかな?
昭和60年ごろって、こういうファンシーなキャラクターが多かったんですよね。
観光地に行っても、ファンシーなマスコットキャラクターがプリントしてあるお土産が売っていた気がするんですけど、違いましたかねえ?
平成から令和の現在は、全国どこへ行ってもゆるキャラがいますけど、そのゆるキャラもよく見れば、みうらじゅんさんが流行らせ出した当初のゆる感からずいぶん変わって、現在のはむしろ昭和のファンシーキャラに近づいている気がするのは僕だけでしょうか?
ちなみに、表紙の折返し部分にはこんな文が。
みることは、ぼくらの楽しみ。
読むことが、ぼくらの楽しみ。
知ることも、ぼくらの楽しみ。
だから『テレビランドわんぱっく』
は、ぼくのもうひとり友だちー。
いや、なんかさみしい気持ちになる!
友だちの後の棒線がむしろ、友だちがいない哀愁を感じさせているから!
ファミリーベーシックと時代を先駆けたロボット
本の最後の方には、ファミリーベーシック用のゲームプログラムが載っています。
ぼくはファミリーベーシックには手を出さなかったけど、ゲームを自作できるなんてとんでもなく凄いことに思えて憧れましたよね。
でも、ぼくの周りにはファミコンにキーボードをつけている友達はいなかったなあ。
あと、本書ではファミリーコンピュータロボットにも触れられています。
ジャイロセットとブロックセットというのがあったんでしたっけ?
これもぼくは手を出せなかったのでよくわかりませんが、まさかファミコンでロボットを動かすなんて、とてつもない衝撃を受けましたよね。
いま思えば、工業用ロボット的な動きなのですが、でもすごすぎる。
いまも産業ロボットの展示会に行けば、ファミコンロボットに似たデザインのロボットが動いているのを見かけます。
当時のCMを見ると、ロボットだけで9800円したんですねえ。
しかも、ゲーム内のキャラクターを操作している?
ちょっと革新的すぎやしませんか?
現在のVRより面白い気がするんですけど。
おわりに懐かしさの正体を考える
このファミコン、ぼくが子供のころに遊んでいた実物です。
もしかしたら残っているかも?
と思って倉庫を探してみたら、あったんですよ!
買ったばかりの時は白かった本体も、だんだん黄色くなっていっちゃいましたよね?
いやあ、懐かしすぎる!
話を戻して、懐かしい本書を眺めていて思うけど、やっぱりファミコンのゲームは面白かったですよね。
現在のゲームはそこまで詳しくないんですけど、ファミコンのゲームって、クソゲーと呼ばれる、明らかに完成する前に発売してしまったとしか思えないゲームとか、難しすぎてクリアできないゲームとか、本当にカオスな世界でした。
なんというか、テレビゲームという最先端の製品、エンターテイメントの世界で、まだバッタものというか見世物小屋の発想というか、祭りの屋台で絶対に1等賞の入っていないくじ引きゲームみたいな、そういういかがわしい空気があったんですよ。
子供からしたら、100円のくじでなく4500円のカセットでそれをやられると、泣くわけにもいかずボーゼンとした後、なんとか面白さを見つけ出そうと何時間もゲームと向き合ってみるのですが、くそはくそですからねえ・・・。
でも、あのいかがわしさがあったからこそ、いまはファミコンに郷愁が湧くのでしょうねえ・・・。
いや、ファミコンをきっかけに、当時のカルチャー、例えばファンシーな世界や本の構成、あぐらをかいてコントローラーを握りしめていた時の畳のにおいなど、どんどん連想して思い出していくそんな記憶たちに、胸がキュッとなるんでしょうね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!