ストリップ・・・・・
なんとも怪しい響きの言葉。
名古屋では全ての小屋が閉店して久しいですが、それは全国的に見ても同じで、衰退の一途をたどるのみの文化でございますなあ。。。。。
さて、今回紹介する本はこちら。
世界裸か美画報 11月増刊
発行:昭和35年11月10日
発行所:季節風書店
裏表紙
『おそらく日本で最初に出版されたストリップの特集』
という文句はこの本の中に書いてあったのですが、たしかに全身写真の載ったストリップ嬢の一覧や、各地域の演題と舞台の模様が写真で解説されている本ですから、当時どころか現在でもそんな珍しいストリップ解説本は出版されていないんじゃないでしょうか?
この本によると、発行した昭和35年は赤線が廃止されて2年経つとのことで、規制が比較的厳しい時期だったようです。
というのも、解説を読む限りでは舞台で全裸になることが禁止で、基本的には台本がしっかりと作られた大衆演劇のような体で行われていて、その台本も内容に露骨なワイセツシーンが描かれていると警察に逮捕されちゃうような環境だったようなんです。
ですから、一昔前の深夜番組「トゥナイト2」の山本晋也監督のコーナーで流れていたような、踊りながら脱ぐというより、演劇の中のエロいシーンを楽しむようなものだったようです。
あとは、戦後から始まったストリップの原型である、水浴びや入浴覗きショーがまだまだ現役で行われていたようです。
演目は、コントのようなものから、残酷ショーと称して裸の女性を水車にくくりつけてぐるぐる回すシーンのある物語なんかもあったようですね。
水車にくくりつけてぐるぐる回すやつって、お笑い横断ウルトラクイズとかでダチョウ倶楽部とかたけし軍団がやってたの見たことないですか?
いやはや、お笑い芸人の罰ゲームや深夜番組のお色気コーナーのシステムや装置がストリップ小屋発祥だったというのは、なかなか興味深くないですか?
他にも警察の取り締まりが厳しかった状況を物語る写真がありましてね。
ストリップ劇場に女子大生を招待して、
ストリップは芸術的で明るいものなんですよ~。
とアピールすることで社会的に認められようと苦心していたようです。
改めて、ストリップはいつから始まったの?
この本によると、戦後初のストリップショーは、
昭和22年の正月に新宿の帝都座で上演された
『ヴィーナス誕生』
という額縁ショーだったそうです。
甲斐美和という女性が、胸を出して額縁を持って立っているだけでしたが、綺麗な女性の裸が見られると評判になったそうです。
ちなみに、このショーを企画したのは、七世松本幸四郎の甥である秦豊吉という人だそうです。
このショーから4年後の昭和26年がストリップの最も盛り上がった時代だそうで、いわゆる行水ショーなどが大盛況だったんですって。
まずはこの写真からどうぞ。
このダンサーの説明がいい感じです。
身長と体重の表記方法が、
5尺4寸5分、14貫8百
ですって。
う〜〜ん、現代に変換するとどうなるんだろ?
まず、5尺4寸5分。
これ、誤表記じゃないかな?
センチに変換すると、207cmとなったんですけど。。。。。
規格が違うのかな?
14貫8百については、8百の意味がわからなかったのですが、14貫については52.5キロですから、女性の体重としては納得できますよね。
207cm、53kgのダンサー?
嘘でしょ・・・・
次は、グラビア写真をどうぞ!
・・・・・写真、というより絵ですね。
当時の印刷技術を考えれば、どうしてもベタッとした表現になってしまうんですよ。
ダッコシスターズでした〜。
ちなみに、通常の11月号グラビアは、女プロレスだったそうです。
現在の女子プロレスとは別物のようですね。
どちらかといえば、キャットファイトの源流なんじゃないでしょうか。
キャットファイト組織Cat Panic Entertainment (Catfight CPE)公式HP
この他にも、日本全国のストリッパー80人を前進写真付きで紹介したコーナーもあって、当時の女性の顔や髪型、プロポーションが確認できて面白いです。
昔の雑誌で、思わずワクワクしちゃうのは広告じゃないですか?
日本最初の性科学専門雑誌ですって。
細かい部分を読んでみると、この画像ではわかりにくいですが、
厚生省版 家族計画・図解
文部省版 性と純潔・図解
と書いてあります。
どんな図解なんでしょうね?
面白そうですねえ。
という感じで紹介してきましたが、中身を読んでいると、
『あのケダモノのような戦争が終わって・・・・』
というような表現が使われていたりして、世の中にまだまだ戦争の爪痕が残っているのを感じつつも、終戦から15年でようやく混乱方立ち直ってきたんだな、という時代の空気も感じる雑誌でした。
こういう歴史を感じる本はなかなか表に出る機会もなく、ひっそりと消えて行くものがほとんどだと思います。
だから、出会った時にはなるべく救出しておきたいジャンルのひとつです。