「おまんら、許さんぜよ!」
スケバンというと、個人的にはテレビドラマのスケバン刑事がすぐに浮かびます。
しかも2代目。
当時、南野陽子がセリフを方言(土佐弁?)で言うところがインパクトあったんですよね。
まあ、キャラ的には1代目の方が現在でも、鉄仮面ならぬパンツ仮面を被らせるなどで、強烈なインパクトを残し続けていますけど。
思い起こせば、子供の頃に流れていたドラマにはたいてい不良少女がいた気がしますねえ。
いや、「不良少女と呼ばれて」というタイトルのドラマもあったように、不良少女を主人公にした作品が多かったのかな?
パーマにマスク、濃いアイシャドー、袖は捲り上げられスカートはくるぶしまであるロング、ペチャンコのカバンを小脇に抱え、なぜかオープンフィンガーのグローブをした手にはチェーンが握られていたりして。
不思議なもので、当時オープンフィンガーをつけている人といえば、スケバンか特撮ヒーロー役で、現実の世界でもオートバイに乗っている人以外では、スケバンかヒーローオタクくらいしかつけているところを見たことがないくらいレアなアイテムじゃありませんでしたか?
話は逸れましたが、1970年代から80年代でスケバンというのは不良による学級崩壊以上に社会から注目を浴びる、得体の知れない引力があったのでしょうね。
得体の知れない、と書いちゃいましたけど、実話をもとにしたドラマ「積木くずし」の原作も1982年に出版されている通り、当時、少女の非行は社会的な不安要素だったのでしょう。
学級崩壊や家庭崩壊なんていう言葉も、テレビや雑誌でよく見た言葉です。
また、最近はあまり聞かなくなった言葉ですが、「落ちこぼれ」という言葉も1970年代後半から1990年ごろの受験ブームまで日常的によく使われていました。
時代は高度経済成長期、総中流社会に向かってみんな足並み揃えて無個性でいることを求められたものです。
そんな時代の中で、スケバンというのはアンチ総中流のアイコンだったのかも知れませんね。
わたし自身は、スケバンとは全く無縁の世界で漫画とゲームに現実逃避しながら生活していたのですが、そんなわたしですらスケバンという言葉には当時の記憶が紐づいていて色々と思い出すのですから、それだけ社会に与えていたインパクトが大きかったんでしょうね。
さて、まくら話が長くなりましたが、本題の
前原大輔著 女高生番長スケバン
です。
中野ブロードウェイのまんだらけで見つけたのですが、表紙のデザインといいタイトルといい、平成の時代にこれはインパクトがありますね。
ウィキペディアによると、1972年の7月に出版されたとあります。
びっくりするのは、当時40万部の大ヒットで、その後も続編が第4部まで作られていたようです。
これだけでも、当時スケバンが大きな注目を集めていたことがわかりますね。
ただ、著者の前原氏は、未成年の少女に映画に出してやると言って手を出して、複数の告発を受けて表舞台から姿を消したというオチまでついているのですが。
それはさておき、このような当時のルポを読むと、自分がまだ子供で何故そこまで社会問題になっていたのかわからなかったことが、あくまでも問題の一面だけではあるものの、理由が少しだけ見えてきて面白いですよね。
さらには、その問題は時代時代で姿を変えていたとしても、解決されることなく現代にも漂流し続けていることが多いんですよね。
例えば、ネットカフェ難民の問題の中には、ネットカフェに泊まらざるを得ない女性に、牙を抜かれ攻撃性を失ったスケバンの姿が重なって見えませんか?